黄表紙は、筋より 各ページの絵と、シャレや、こんな事アルアルと言ったちょっとした面白さを見つけるものです。
筆者なりのヒントを、ページ下に書きますので、参考にして下さい。
まず最初は下までスクロールして絵をお楽しみください
主人公は『ダダラ大尽ひろむね』。合戦物らしく、100万石の太守と言っていますが 『ダダラ大尽』とは 放蕩者 特に吉原等で無駄な金を使う馬鹿者のことです。
『餅の皮をむく』は無意味な贅沢。 『メンドリが時を作るは』は家内の取り締まり担当の女性が、主人担当の業務に口を出して、家内が乱れる事を言います
家内では、奥様の『覚悟の前』が小判で行水をする様に、贅沢三昧。
こちらは敵役の『掛け取り城主 小鍋粥の守上澄』。 戦記の形なので、城主になっていますが、実際は金貸しをイメージしています。
掛け取り城の 戦勝祈願です。 祭られているのは『貧乏神』で、この頃、どうしても貧乏から抜け出せない商人が,貧乏神を丁重に祭ったところ、貧乏神は居心地が悪くなって去って行き、その後裕福になったという話があります。
掛け取城の軍勢が押し寄せると聞き、『ダダラ大尽広胸』の軍は城に立てこもります。
掛け取軍の先鋒は、屑は五左衛門。
広胸側では、取りあえず借金取り立てを無視して、不用品を集めて質屋に持って行き、その場をしのごうとします。。
奥方も、蒔絵の鏡台の中から贅沢品のタイマイの櫛等を提出しますが、そんな物位ではどうにもなりません。
奥方の 覚悟の前 は乳母に連れられて、逃げだします。
借金取りの取り立ては厳しく、質は流れ、家財は売られ、ついに破産が目に見えてきます。
奥方は逃げ、取り立ては厳しく、広胸は店をあきらめ、ひそかに別邸に遁れます。
そこで、店では表に『当分の間 商売を休み 奥へ引きこもります』 『間口八間 奥行き二十間(160坪)の店売ります』の破産宣言を行います。
債権者は、奥方をさがして、直接請求しようとしますが、乳母は必至で隠します。
主人の広胸は、ひいきにしていた太鼓持ち 『世の中承知の助呑末』 がかくまいます。。
太鼓持ち達は、借金取りたちを追い払います。
倒産騒動の解決が見えたところへ、江戸時代に信仰された『三宝荒神』の神が現われ、広胸には「家業に励め」 掛け取勢には「倹約ではなく吝嗇(ケチ)になっている。楽しみにも金を使え}と教訓する。
作者 時太郎可侯の挨拶です。可侯は葛飾北斎が、黄表紙を書くときの名前です。この本の出版は寛政12年(西暦1800年)で北斎41才の時の作品です。『竈将軍勘略の巻』の内容が紹介される事はほとんどありませんが、この絵は自画像として時々見かけます。黄表紙なので、ずいぶん年寄り臭い姿に、誇張されています。
この書は200年以上前の出版物ですが、筆者が持っている者は大正時代に復刻されたものです。
基本的に、書かれた文章はその通り現代文にしたつもりですが、読みにくいので平仮名を勝手に漢字に変えました。